中動態の世界

意志と責任の考古学 國分功一郎著 新潮文庫

能動と受動以外に中動態という世界があったんだ!と驚きました。その研究から意志と、それに対する責任という概念を丁寧に分析されている著作。この本、医者嫌いの母を介護する中で大変興味を持ちました。治療を嫌がる母の意志、それに対する医師の責任。現代風に言えば、すべて母の自己責任と切り捨てられがちですが、中道態の世界から視れば、この意志という概念を形成する無数の原因や複雑な環境を理解した上で、いかにその状況が発生するのか理解しようとする(当事者研究)試み等を通じて、その行為を周囲が共有しようとする(行為のコミュニズム)ときに本当の責任が現れてくる。人間への慈しみに満ちた本だと感じました。