民藝とは何か

柳宗悦著 講談社学術文庫

1889年生まれの宗教哲学者である柳氏は、それまでの大衆から離れ上流階級だけが理解する富貴な”美”を否定し、より”生活に密着した美”=「民藝」として再定義しました。民衆が日々用いる工芸品であり、普段使いするもの、誰でも日々用いるもの、毎日の衣食住に直接必要な品々、そういうものを民藝品と呼ぶ、と述べています。「自然姿も質素であり頑丈であり、形も模様も従って単純になります。作る折の心の状態も極めて無心なのです。(中略)材料も天然物であり、それも多くはその土地の物資なのです。目的も皆実用品で、直接日々の生活に必要なものばかりなのです。制作の組織は多くは組合。これが民藝の世界なのです。」民藝は、柳氏が従来の美をクリティカルに観た結果生まれた、新しい美の世界でありました。