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ー人間中心の経済学ー E・F・シューマッハ著  講談社学術文庫

規模や効率を追求する近代経済の傾向や蔓延する物質至上主義、科学技術信仰に警告を発し、もっと人間らしい経済を創ろうと仏教経済学や中間技術の必要性など数々の提言をしています。「我々が生き残り、子孫が生き続けられるようにしたいならば(中略)人間の本当の欲求と、我々のまわりの自然界の健康と、世界の天然資源と両立できるような新しい生活様式を編み出さない限りは、危機は悪化の一途をたどり最後には災厄を招くことになるだろう。」と氏の警告は現代の私たちにも突き付けられているます。
さらに私自身が大好きな一文が「人間というものは、小さな、理解の届く集団の中でこそ人間でありうるのである。(中略)経済学がこの点をつかめないとすれば、それは無用の長物である。(中略)経済学が貧困、挫折、疎外、絶望、社会秩序の分解、犯罪、現実逃避、ストレス、混雑、醜さ、そして精神の死というような現実の姿に触れないのであれば、そんな経済学は捨てて、新しく出直そうではないか。」
博士課程在学中に読み最も共感した1冊です。