観光庁ビジョンは「住んでよし訪れてよしの国づくり」です。つまりまず地域独特のライフスタイル、住民が共有する生活価値、そして景観・建築・自然など3つの価値が地域の魅力として移住者や観光客を魅了するベースとなります。その概念をLocal Value Identityといいます。以下、イメージ図です。(「一からの観光」高橋一夫・大津正和・吉田順一著。p.234図15-3ローカル・バリュー・アイデンティティとして地域の魅力=文化力より加筆修正)
ライフスタイル移住について
パンデミック以前より、またそれを契機として、都市から地方への若い移住者が増えています。その方々の多くは自分らしいライフスタイルを求めて移住(ライフスタイル移住)を決断されています。リモートワークなど、場所を選ばない働き方が広がっています。それに伴い地域独自の価値をさらに活かした小さな起業も増えています。
ライフスタイル移住の定義は次の通りです。
「経済的理由や仕事や政治的理由など伝統的に主流であった移住理由以外の、より広範な意味での生活の質を求めての移住」*(Benson,M.and O'Reilly, K.(2009)"Migration and the Search for a Better Way of Life」 The Sociological Review, Vol.57, No4,pp.608-625)
自分らしいライフスタイルを求め、若い移住者たちが地域において起業し、既存の住民たちと相乗しながら価値を向上させていく、そのような小さな経済の循環をパストラルエコノミー(PASTRAL ECONOMY)と定義しました。ライフスタイル移住とPastoral Economyとの関係について次の資料にまとめています。
☞ <ライフスタイル移住とPastoral Economyとの関係>
さらにライフスタイル移住は”Inclusive localism”(包括的なローカリズム)という概念をもつ地域でみられます。以下、その概念を唱える元インド連邦準備銀行総裁で現シカゴ大学財政学教授のR・Rajan氏 「The Third Pillar」での定義を紹介いたします。
Inclusive localism: the process of decentralizing power to the local level so that people feel more empowered in their communities. The community will become a possible vehicle for ethnic cohesiveness and cultural continuity. 「Third Pillar」 Raghuram Rajan (p.285)
[和訳] 包括的なローカリズム:地域住民への脱・中央集権化のプロセスのことであり、住民たちがそのコミュニティにおいて主体的に関わることを促進します。そのコミュニティは、(排他的ではなく)あらゆる人種を包容する力をもち、(伝統・習俗など)文化的持続性への希望ある媒体となるでしょう。
北海道 北竜町での事例
北海道北竜町にて2019年4月から2021年3月まで「北竜町ひまわりの里基本計画」策定委員としてまちづくりの議論に参加しました。以下基本計画の内容をご紹介いたします。
北海道北竜町での特産メニュー作りに関する取組みを住民を巻き込んで実施いたしました。
<北竜町おむすびコンテスト>
持続可能なツーリズムについて
地域住民を巻き込んだ特産メニューづくり、その他マイクロツーリズム・出逢いツーリズム・デジタルデトックスツーリズム・ベジタリアンツーリズムなどこれからの時代に適応した持続可能なツーリズムを共に創造いたしましょう。
一例として出逢いツーリズムの可能性についての論文です。
<出逢いツーリズムの可能性について>