人間の経済

宇沢弘文  新潮社

「経済は人間のためにある」として短期利益を追求して暴走する市場原理主義に警鐘を鳴らし、人間社会の営みに不可欠な医療や教育、都市と農村の関係、自然環境などを「社会的共通資本」としてその必要性を訴え続けました。特に農村の荒廃に心を痛め、農の営みは社会的共通資本の重要な一つとして、農の営みを中心とした持続可能な生活者の集まりを”三里塚農社構想”として提言されています。ジョン・ラスキンの言葉「There is no wealth, but life」という言葉を「富を求めるのは、道を開くためである」と訳され、自身経済学を学ぶときの基本姿勢とされました。”経済が人間のためにある”のなら、経営も人間のためにある、と言えるでしょう。